「看護師の平均年収ってどれくらい?」
様々な悩みや疑問、不満を感じながら働いている看護師の方も多くいらっしゃると思いますが、このページでは次のような悩みや疑問が少しでも解決出来るように、厚生労働省の最新データをまとめました。
データは厚生労働省発表の最新のものを採用しています。最新データだけでなく過去数年の推移もご覧頂けますので、ご自身の状況と照らし合わせることで看護師としての客観的なポジションを知ることが出来ます。
平均年収に関するデータに加えて、平均年齢、看護師人数の増減、勤続年数、平均労働時間、平均残業時間といった労働環境に関するデータも合わせて掲載致しました。
お金のこと、働き方のこと、職場のことで悩んでおられる看護師の方は是非参考にしてみてください。
これらのデータを踏まえた上で、どうしたら無理なく年収をアップさせることが出来るのか、ご自身に相応しい働き方が出来るのか、解決策も幾つかご紹介致します。
※掲載データの無断引用・転載を禁じます。必要な方は厚生労働省を参照してください。
[旧記事] 2016年データで見る看護師の平均年収・給料
まず最初に2021年厚生労働省発表の看護師の平均年収から見ていきます。
2021の看護師の平均年収は491.8万円。看護師の平均年収はここ数年大きな変動はなく比較的安定していましたが、新型コロナウイルスの影響で看護師の労働状況にも変化があり、結果として平均年収は前年比で8.9万円も上昇しました。
但し、この平均年収はあくまで全国平均であり、看護師の平均年収は勤務するエリアによって大きな差が生じている点には注意が必要です。
そこで次は勤務地別に看護師の平均年収を確認しておきます。
勤務地別にみる看護師の平均年収の上位3エリアと下位3エリアは次の結果となりました。
エリア | 年齢 | 労働時間 | 年収 |
---|---|---|---|
青森県 | 44.5 | 167時間 | 540.5万円 |
岐阜県 | 41.6 | 158時間 | 530.4万円 |
神奈川県 | 40.6 | 163時間 | 521.8万円 |
2021年データで最も平均年収が高かったのは青森県で平均年齢44.5歳、平均労働時間167時間で平均年収540.5万円となっています。2位の岐阜県は530.4万円と平均年収でみると青森県よりより10万円近く低くなっていますが、平均労働時間が9時間少なく、平均年齢も3歳近く若いことを考えると条件は悪くないと考えることも出来ます。
3位の神奈川県は2位より8.6万円低い平均年収となっていますが、平均年齢も若いことから、平均年収を条件面を踏まえた上で総合的にみると上位は大きな差が無いのかもしれません。
エリア | 年齢 | 労働時間 | 年収 |
---|---|---|---|
大分県 | 42.5 | 175時間 | 405万円 |
熊本県 | 42.8 | 165時間 | 424.4万円 |
高知県 | 43.6 | 160時間 | 440.7万円 |
次に下位のエリアを見ていきますが、平均年収が低いエリアは次のような傾向が出ています。
第一に九州・四国地方であるということ、第二に働いている看護師の方の平均年齢が高いという点です。特に九州地方のエリアは前年も下位にランキングされており状況が改善されていません。
特に平均年収47位の大分県は労働時間が175時間と長いにも関わらず、1位の青森県との比較で135.5万円も年収が低いという結果となりました。
より詳しいデータをご覧になりたい方は、47都道府県の看護師平均年収一覧と各エリアごとに詳細データをまとめたページが御座いますので是非そちらをご参照ください。
都道府県別にみる看護師の平均年収ランキング
厚生労働省発表の2021年データをもとに都道府県別に看護師の平均年収と労働環境に関するデータを掲載しています。厚生労働省が2021年に発表した賃金構造基本統計調査における看護師労働者数とその推移は次の通りです。
上記のデータは国内の看護師の実数を示すものではありません。あくまで賃金構造基本統計調査の基準に準じた推計値となりますが、働く看護師の数の増減の傾向を確認することが出来るデータです。
こちらのデータを見る限り2017年発表データをピークに看護師の数は減少傾向にありましたが、直近では新型コロナウイルスの影響もあり急増しています。
ご自身が働いているエリアの看護師の労働者数の増減を確認したい方は、前述の都道府県別看護師平均年収ランキングで詳細データをご覧頂けます。
厚生労働省発表の看護師の平均年齢とその推移は次の通りです。
一般的に平均年収と平均年齢は比例の関係にありますが、ともに直近4年はあまり変動が無く微増となっていましたが、2021年発表データでは新型コロナウイルスの影響からか変動が見られました。現場での看護師不足を受け、ベテラン看護師が復帰した等の要因が考えられます。
2021年の看護師の平均勤続年数は次の通りです。
勤続年数とは現在働いている看護師がその会社で何年勤続しているかを示す値です。その為、必ずしも「平均勤続年数の値が低い=離職率が高い」とはなりませんが、転職の回数や頻度を推測する上で目安となるデータの一つです。
看護師の平均勤続年数のデータは大きな変動はなく、ここ数年は微増となっていることから、比較的安定志向であるとみることが出来ます。新型コロナウイルスが発生後は医療業界全体で収益が悪化していますので、動かずに状況を注視しているという方も増えているとみられています。
2021年に厚生労働省が発表したデータによると看護師の1ヶ月あたりの平均労働時間は次のようになっています。
看護師の平均労働時間は比較的変動が無く、他業種と比較しても特別労働時間が長いといったことはありません。2020年発表データでは4時間減となりましたが、2021年データではほぼ例年通りの労働時間に戻っています。
コロナ禍で看護師の労働環境にも変化があり、一部の医療施設では看護師が不足している事態となっていますが、それらが反映されると思われる次回の発表データが注目されます。
続いて看護師の平均残業時間を見ていきます。
看護師の労働環境を推測するのに有用な指標、平均残業時間とその推移は次の通りです。
平均残業時間のデータは看護師の労働環境は勿論ですが、平均年収を語る上で欠かすことの出来ないデータの一つです。
直近の看護師の平均残業時間は1ヶ月あたり約7時間でほぼ変動なく推移しています。この6~7時間という数字だけみれば、看護師の残業時間は一般企業の残業時間よりかなり短いと考えることが出来ます。
平均労働時間、平均残業時間とのバランスで看護師の平均年収を考えると、一般よりも労働条件が優れているという事になりますが、話がそれ程単純では無いのは看護師である皆さんが一番ご承知のことかと思います。
まず、労働時間にしても、残業時間にしても上記のデータは少し少ないと思われた看護師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、転職エージェントなど民間企業が行った平均労働時間、残業時間の調査ではもう少し長い労働時間、残業時間が出る傾向があります。
特に新型コロナウイルスが発生以降、過酷な労働環境で頑張っているという看護師の方もおられると思います。
何故、同様の調査で異なった数字が出てくるのか。それは調査方法に起因します。
平均労働時間や残業時間に関しては、厚生労働省が主に雇用主に対して調査しているのに対し、転職エージェントなど民間企業は主に労働者に対して調査しています。その為、差が生じる、と言われています。
特に看護師の場合は、決められた時間に帰れる職場がある一方で、緊急対応を求められたり、プレッシャーやストレスが高かったり、夜勤や急な交代や呼び出しがあったりする職場もありますので「看護師」と一括りに平均値を出すのが難しい職業です。
労働時間、残業時間に関しては統計データよりも働こうと思っている病院、施設の現状がどのようになっているのか出来る限り正確に把握することが重要になります。
このあたりのデータは転職エージェントに相談することでその病院、施設の実情が把握できますので、必ず個別のデータを確認するようにしてください。
マイナビ看護師で残業時間の実情を調査
全国17ヵ所にサポート拠点を持つ日本最大級の看護師転職サイト。サポートに定評があり初めて転職の相談をする方にオススメ。2021年発表の看護師の平均月収(給料)は次の通りです。
看護師の給料はここ数年全くといっていい程変動がありませんでしたが、コロナ禍で一部の医療施設で看護師が不足している現状を反映してか、2021年発表データでは若干の上昇が見られます。
あくまでデータ上の数字であり、給料以外のデータ、例えば、働く看護師の数、平均年齢、労働時間のデータには多少の変動が見られますので、あなたの現状(年齢や働いているエリア)と照らし合わせて総合的に捉える必要があります。
一部の医療施設では新型コロナウイルスの影響で混乱も見られましたが、看護師転職市場全体としては比較的安定していて、転職活動時に求人が見つからないといったことは無さそうです。
2021年発表の看護師の平均ボーナス額とその推移は次のようになっています。
看護師の平均ボーナス額は2018年発表データで若干の下落がありましたが、2019年、2020年には概ね回復、2021には4.2万円という大幅上昇となりました。
看護師の場合は直近数年の平均月収に大きな変動が無いにも関わらず、平均年収に変動が生じているのは、このボーナス額の増減が影響しています。
2021年データの大幅上昇はコロナ禍による労働環境の変化も影響しているものと考えられますので、今後どのように推移していくのか注目されます。
月給とボーナスの配分に関しては施設や企業によって異なってきますので、転職を検討されている方は「ボーナスはあまり期待できなくても月収が高い方がいい」といった具合に転職エージェントに希望を伝えて実情を調査して貰うと良いでしょう。
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人材情報サービス大手。求人数は10万件オーバーと国内最大級。看護師の転職に関する情報量に定評あり。正規職員以外の看護師、パート看護師、派遣看護師の平均時給に関するデータは厚生労働省発表の短時間労働者のデータから看護師の平均時給に関する項目を抽出しています。
なお、短時間労働者の定義定義は次の通りです。
「1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い又は1日の所定労働時間が一般の労働者と同じでも1週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない労働者」
実際には一般労働者と同等、又はそれ以上に働いているパート看護師、派遣看護師の方もいらっしゃるかとは思いますが、ここでは厚生労働省が定義するところの短時間労働者に該当する看護師の平均時給を見ていきます。
看護師の平均時給は1,696、1,716、1,733円、1,789円と連続で上昇していましたが、2021年発表データでは前年よりも減少し1,776円となりました。
平均時給の減少は見られますが減少幅は僅かなものです。新型コロナウイルスの影響で看護師の労働環境、看護師の働き方も多様化してきていますので、今後の動向が注目されます。
当サイトでは都道府県エリア別に看護師の平均時給に関するデータ、ランキングもご用意させて頂いておりますので、ご自身が働いているエリアの平均時給、転職を予定されているエリアの平均時給も是非ご確認ください。
都道府県別にみる看護師の平均時給ランキング
厚生労働省発表の2021年データをベースとして都道府県別に看護師の平均時給を独自に算出。各エリアの時給の目安がわかります。仮にではありますが、2021年の看護師の平均時給で1日8時間、正社員のように年間240日働いたとすると年収は341万円となります。
同じ2021年の正職員の看護師として働いた場合の平均年収491.8となっていますので、その差は150.8万円にもなります。150.8万円を時給で換算するなら849時間分に相当。正職員と同じ金額を稼ぐ為には849/時間、日数(1日8時間計算)にして約106日間余分に働く必要があります。
業種によってはパートや派遣であっても年収という点では正職員に劣らないというケースも存在しますが、看護師の場合はフルタイムでないにしても長時間働くのであれば、正職員の方が圧倒的に有利な条件が揃っていると言えるでしょう。
勿論、これはあくまでパート看護師・派遣看護師がフルタイムで働いた場合の想定値であり、現実的にはパートや派遣でフルタイム働く方もそれ程多くない筈です。
パート・派遣にはご自身の都合の合わせて、時間を区切って働くことが出来るという大きなメリットがあります。求人を探す際にはそのメリットが有耶無耶にならないよう、パートや派遣に強い転職エージェントを選択することが成功のポイントになります。
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直近では新型コロナウイルスが猛威を振るい、医療の現場は勿論、介護施設なども多かれ少なかれ混乱しており、それまで以上に看護師の需要は大きくなっています。
施設による環境の差も大きく転職するには難しい時期ではありますが、需要が大きく売り手市場となっていますので、適切な情報収集と転職活動が出来れば、従来よりも良い条件で転職できる可能性はぐっと高まります。
現状を変えたいと考えている看護師の方も多くいらっしゃると思います。焦る必要は全くありません。情報収集を効率よく行いながら、つまらない求人に惑わされない目を養い、条件が良い求人を見つけた時に躊躇無く動けるよう、少しずつ相場観を身につけてください。
転職エージェントはその為のツールと割り切って活用していきましょう。