今回の看護師転職コラムではサヤ(30代・岡山県在住)さんから頂きました転職体験談をご紹介させて頂きます。
私は看護師9年目になります。転職前は3次救急の総合病院に勤務をしており、2交代の病棟で急性期病棟から内科、外科と幅広く勤務をしてきました。
総合病院勤務中に結婚し1人目の長女を出産、夫の転勤もあり2人目の長男の産休にて長らく働いた病院を退職することになりました。
2人目を出産後1年半が経過し、看護師としてのキャリアを考えるなか、金銭的な問題もありましたが臨床から一旦離れてしまうことでの看護師としての技術力やアセスメント力の低下が怖く、また育児疲労も重なり復職をしようと決意しました。
復職するにあたってまずはハローワーク、看護協会、友人からの求人情報、転職サイトへの登録など看護師には様々な方法がありますが、子供がまだ小さく私個人での身動きが取りづらいために、1番簡単なサイト閲覧という方法で多くの情報を得られ、またLINEで担当者とやりとりができる転職サイト、ナース人材バンクへ登録しました。
当時はキャッシュバックキャンペーンもしており、軽い気持ちではありましたがこれも複数の転職サイトの中から選ぶ要因となりました。
担当者さんと復職に向けたやりとりをする前に、まずはこれまでの自分自身のキャリアを見つめ直し、どんな分野、病院で働いていきたいのか、ということを考えました。しかし、2人目の長男の預け先が決まっておらず、待機児童問題もあり託児所のある病院でなければ就職は難しい状況でした。それに加え、長女は幼稚園へ通園しているために、送迎が可能なエリアである必要がありました。
この条件を担当者さんへ伝えると、
『時期的にも(当時は9月でした。)人が動きにくく、求人数が少ない状況です。託児所付きでエリアが限られてしまうと○○さんの希望通りの病院に就職することは難しいかもしれない。』
と言われました。しかしその後直ぐに連絡があり、幼稚園の近くのエリアで募集している病院が1件あるとの事でした。そこは19床の有床クリニックで、託児・病児保育もあり夜勤なしの日勤のみ、勤務時間の制限がある場合はパート1250円/時給、幼稚園からも車で5分ほどの距離と好立地でした。
応募可能な病院が1件しかなく、選びようのない状況に悩みましたが担当者さんへ折り返し面接と病院見学をする事となりました。
面接するにあたって、長らく履歴書を書く機会のなかった私でしたが、担当者さんより書き方のイロハから志望動機の文面まで全てサポートがあり、何の困難さもなく履歴書が出来上がりました。面接では雇用条件の埋め合わせをしていくことが多いとのことで、勤務開始時間や終了時間、固定休みの有無など細かな条件を担当者さんと再度確認し、面接に挑みました。
担当者さんは面接にも同行してくれ、窓口の方とのやりとりも全て行ってくれるので非常に安心感がありました。そして面接を受けたA病院は人材が圧倒的に不足している状況で、直ぐにでも働いて欲しいといった様子でした。雇用条件は全てクリアし、無事に採用となりました。しかし、病院を見学してみて正直、総合病院とはまるで違うギャップを感じていまい、心は全く落ち着きませんでした。病棟は暗く、ナースステーションはとてつもなく狭い、波形が正確にとれていないモニター心電図がある。不安要素が募るばかりでした。しかし、家族のためにも切り替えてやっていこうと思いました。
その後、病院側からナース人材バンクに提示された正式な雇用条件と、今後の流れについて連絡があり、更衣室ロッカーの案内や制服の引き渡し、託児所や病児保育の利用登録を済ませ、無事に働くこととなりました。
ナース人材バンクからは、勤務初日に連絡があり『初勤務はいかがでしたか?』や、『困ったことや相談に乗って欲しいことはあれば何でもお伝えください』と頼もしい言葉をいただきました。
それから半年間働き、どうしても病院で行われている治療やエビデンスのない看護、また家族ケアに不信感が募り、子供の前でも笑顔が少なくなっている自分に気が付きました。
家族のことを考え選んだ今の病院で、私は私らしく働けているのだろうか?業務には慣れたものの、日々の看護や治療を不審に思い、また上司のパワハラも目撃し、このままでは私は自分で自分のキャリアを潰してしまうのではないか?家族のために働くという選択肢ではなく、自分自身にケジメをつけるためにも自分のために、自分が働きたいと思った場所で胸を張って働きたいと思うようになり、ナース人材バンクの当時の担当者さんへ相談をしました。
担当者さんは病院採用担当の人事の方に連絡を入れてくれ、私は師長へ相談し退職の意向があることを伝えました。そして話し合いの結果、勤務半年をもって退職することとなりました。
現在は、ナース人材バンクでは求人募集が得られなかった希望の病院に、それでも働きたい!と病院の採用担当の方へ直談判し、面接から採用に至りました。長男の幼稚園入園も決まり、4月から心機一転働く予定になっています。
私が復職活動を振り返ってみてまず感じたのは、自分自身のキャリアは絶対に大切にすべきだということです。誰かのために自己犠牲の気持ちで就職を決めると、何かつまずいた事があった時の怒りの矛先が家族に向かってしまい、どうしても被害者意識が生まれ易くなってしまいます。
家族の事も大切だけれど、やはり大切にすべきは自分自身で、自分自身に重きを置き、大切に働くことができれば家族の事も必ず大切にできますし、被害者意識も生まれなくなります。
そして、本当に働きたい病院を見つけたら、転職サイトに求人募集が掲載されていなくても、その病院に電話をしてみると良いタイミングに出会えることもあるかもしれません。
また、求人の時期とタイミング非常に大切です。1年の中でも3月頃が最も求人数が多く、次に6月や12月前後のボーナスの時期、そして10月の人事異動の時期、となります。
タイミングに関しては自分自身ではどうしようもない部分でもありますが、情報収集はいつでも可能であり、情報量は多いに越したことはないので、なんとなく転職したいなと感じた時点から時間の許す限り1年でも2年でもかけて求人を探すと、時期とタイミングを逃さず良い転職が出来るのではないかと思います。
複数の転職サイトに登録すると電話連絡やラインでのやりとりが非常に面倒になるため、やはり情報量の多い大手の転職サイトは1から2つに絞る方が良いと思います。
しかし、地方の民間病院やクリニック、老健は運営が厳しいところも多く、転職サイト経由で就職をすると就職先が転職サイトへ多額の金銭を支払わなければならないため、病院側としては採用をしたいが、ハローワーク経由で面接にきて欲しい、など厳しい現状も周囲から聞きます。身動きの取り易い方や、子育て世代でも時間の都合のつく方は転職サイト以外の方法を取るのも1つであると思います。
これから転職や復職をする方には、しっかりと自身のキャリアを見つめ直していただき、こんな分野で働きたいという事をまずは明確にして欲しいなと思います。そして現在の生活環境から雇用条件を明確にしていき、自分自身に合った病院選びをして欲しいなと思います。